​<豊田会長> 2018年 国際バレーボール殿堂入り 特集号 ~ 記念 INTERVIEW ~

豊田博

「健康寿命を伸ばす。ソフトバレーの発展は、社会貢献」

豊田博<東京都ソフトバレーボール連盟常任顧問>

 

 日本体育大学体育学部卒業、東京大学教養学部助教授、千葉大学名誉教授、元日本バレーボール協会副会長、ナショナルチーム強化本部長、日本体育協会理事、生涯スポーツ推進委員会委員長、FIVBバレーボールアカデミー理事長、国際バレーボール連盟理事、国際バレーボール連盟ルール・コーチ・技術委員会委員長などを経て、​2013年に瑞宝中授章、2018年には国際バレーボール殿堂入りが決定。

広報 おめでとうございます!バレーボール界のノーベル賞とも言われる「国際バレーボール殿堂」入り(公式HPはこちら)が決まったと伺いました。

豊田 これまで、バレーボールの指導、普及などに長く携わってきました。オリンピックでメダルを獲得したナショナルチーム(男女とも)での指導や、国際バレーボール連盟、FIVBバレーボールアカデミーなどでの役員としての実績を評価してもらったのだと思っています。

広報 豊田会長の日本国内にとどまらず、世界的な活躍が認められたのですね。今年は豊田会長をはじめ、エフゲーニャ・アルタモノワさん(ロシア代表として6大会連続で五輪出場)など、5名が受賞されます。感想をお聞かせください。

豊田 過去に松平康隆さんや、大松博文さん、山田重雄さんも受賞されていますが、日本人としては8人目の受賞となります。名誉ある賞で大変嬉しく思います。予想もしていなかったので、パスポートの準備などが大変ですが(笑)、11月に表彰を受けにアメリカに行ってきます。楽しみにしています。

​豊田会長の講義に熱心に耳を傾けるリーダーたち。日本のバレーボール界の歴史とともに歩んできた会長の言葉が胸に響く。

広報 殿堂入りした方を見ると、選手や監督が多いですね。豊田会長はバレーボール界のリーダーとしての評価を受けての受賞。これは国内初ですね! 世界のリーダーとしてはもちろんですが、国際的な活動で印象に残っていることはありますか。

豊田 日本のバレーボールが世界で活躍するようになると、1962年頃から日本にとって不利なルールが設定されるようになりました。ブロックのオーバーネットの許容、アンテナの設置位置などの変更です。バレーボールを観戦する人がおもしろいと思うことも大事ですが、選手のためになるルール改正を一番に考えることが必要ですね。ですから、国際バレーボール連盟の規則委員長などをしていた時は、こうした考えを大切にしながら、現在のラリーポイント制や、身長が低くても参加できるリベロ制の採用などでの糸口を開いたことが印象に残っています。

広報 今では当たり前のリベロやラリーポイント制の導入を働きかけた! それだけでも凄いことですが、会長はルール改正だけではなく、指導者としても国際的に評価されていますよね。

豊田 国際バレーボール連盟でのコーチ委員長、技術委員長、国際審判員、オリンピックや国際大会での大会役員等を務めていたこともあり、海外で指導する機会にも恵まれました。国際バレーボール連盟として初の指導者向け公認テキスト、コーチズマニュアルも編著したんです。

「子どもたちにバレーをする機会を」

広報 豊田会長の活躍はトップレベルにとどまりません。バレーボールの普及には何が必要とお考えでしょうか。

豊田 ナショナルチームが強いと、そのスポーツは子どもたちにも人気が出ます。子どもたちがバレーに興味を持ちやってみたいと感じた時に、バレーをする機会をつくりながら裾野を広げて、ファンを増やす。これまで以上に多くの人たちがバレーをする機会、観る機会を多くつくることが必要です。

広報 トップチームに憧れて多くの子どもたちがバレーを始める。それが基盤となってトップ選手が育っていくといった好循環づくりということですね。

豊田 そうです。また、国内ではママさんバレーも盛んなので、子どもたちのバレーを盛んにするとともに、パパや親子のファミリーバレーなどへと発展させていく工夫も、支援者やファンを増やす上で必要なところです。

​笑顔あふれる優しい表情もバレーボールへの想いを物語る。

広報 たしかに、バレーボールは人気がある一方で、実際に始めるきっかけがあまりないかもしれませんね。

豊田 難しいのは初心者に始めてもらうことなんですね。バレーは初心者にとって技術的にも難しいものなので、指導者も大切ですが、より早い段階から、例えば小学生の頃から親しんでほしい。そこで思いついたのが初心者でも入りやすいソフトバレーなんです。小学生にバレーボールに親しむきっかけをつくることと、生涯スポーツという二つの面からソフトバレーボールを考え出し、普及に力を入れてきたんです。

「いつまでもバレーを楽しんでほしい」

​時折見せる真剣な表情も印象的だった。

広報 そのようにして誕生したソフトバレーですが、今では幅広い年代に親しまれていますね。

豊田 体力づくりの点からも全身運動ですし、ソフトバレーは非常に健康に良いことが明らかになっています。健康寿命を伸ばせる生涯スポーツとしてのソフトバレーの発展は社会貢献とも考えています。より多くの人に、いつまでもバレーを楽しんでほしいと思っています。

広報 現在も東京都ソフトバレーボール連盟の会長を引き受けていただいて、普及にご尽力いただいていますが、最後に連盟の課題などがあれば教えてください。

豊田 東京都連盟の登録チームは30~40チームです。チーム数を増やすことが会長としての役割なのですが、東京都の場合は、人口の割に大変少ない数なんですね。​

広報 東京でも登録チーム数が増え、ソフトバレーボールがどんどん盛り上がっていくようにしたいですね。

豊田 今日も初心者講習会と同時に、リーダー資格保有者に呼び掛けをして指導者としての研修を受けてもらっています。まずは、こうした取り組みを各地で続けつつ、大会の仕組みなども工夫することによって、登録チームがより楽しめる環境をつくっていきたいと思います。

広報 役員一同、もっとがんばらないといけませんね。本日は貴重なお話をありがとうございました。これからもご指導よろしくお願いいたします!

​<編集後記>

 豊田会長には初心者講習会とリーダー研修の合間を縫って、バレーボールに対する熱い想いやこれからのソフトバレー界について語っていただくことができました。委員として初めての取材で緊張しましたが、会長の優しい表情とバレーボールへの愛情にいつの間にか引き込まれている自分たちがいました。貴重なお話はもとより、いつもソフトバレーボールを楽しむ私たちをあたたかく見守っていただき、本当にありがとうございます。

2018年7月 ​東京都ソフトバレーボール連盟 広報委員会